これからの情報教育に関するまとめ

これまでの日本での情報教育は情報活用に重点を置かれていましたが、各国では単なるICTリテラシー教育から脱却する動きがあります。特に米国で「計算論的思考 (Computational Thinking)」を教えようという動きがあり、そこで何を教えるべきなのか、その方向性を示す情報を集めてみました。


情報教育の方向性に関する情報をまとめてみました。単にPCの使い方でもプログラミングでもない、読み書きソロバンの次に必要な「計算論的思考」とは何なのかに迫りたいと思います。

計算論的思考とは

計算論的思考 (computational thinking) は、カーネギーメロン大学のジャネット・ウィング教授の提唱した言葉で、以下のリンクに原文とその訳があります。一言でいうと「コンピュータ科学者のように考える方法」という意味とのことで、なんとなく分かるのですが、専門用語が多く、本質的なところがはっきりしないと思いました。今年から始まった文部科学省の「プログラミング的思考」もここが源流だと思うのですが、やはりしっくり来ないと思っていました。今、1980年に出版されたシーモア・パパート教授の「マインドストーム」を読んで、ようやく何を目指しているのかが見えてきました。

何を学ぶのか

「計算論的思考」「プログラミング的思考」で何を学ぶのか、ということについて私なりにまとめてみました。

・コンピュータを通して、数学、物理、言語などの仮想的な世界を体験すること。
・学び手が自分の意志でコンピュータに命令を与え、何が起こるのか試行錯誤すること。
・自分なりの手順を考えて体験すること。
・複雑さの構造を分析すること。
・問題を発見すること。誤りの真の原因を探ること。
・思考そのもの、学習そのものについて体験しながら学ぶこと。
・何のために学んでいるのか自分で納得すること。

アンプラグドや「ルビィのぼうけん」のようにコンピュータを使わないでも学べますが、プログラミングを一度体験してみることをお奨めしたいです。子どもが遊びに夢中になって、工夫したり、新しい遊びを考えたりする状況を、科学・言葉・思考などを学ぶ現場で再現しようということであり、これは壮大な実験なのではないかと思います。

2020年について

2020年から小学校でもプログラミング教育が必修となりました。これまで段階的に情報教育が進められてきましたが、ようやく本格的な取り組みが開始されることになります。先生方の負担が大きくなるということは容易に想像でき、私のようなIT業界のOBが相当数いるはずなので、うまく活用されるといいなぁと思っています。

それから、日本のプログラミング教育は新たな教科を設けるのではなく、従来の教科の中に組み入れることになったようです。そういう意味では「情報教育」というより「教育」全体の取り組みと理解したほうがいいのかもしれません。

2021年について

2021年からGIGAスクール構想が前倒しとなり、小学校に1人1台のデバイス(iPad や Chromebook)が配布されたところも多いと思います。私は東京都のTEPRO(ティープロ)にボランティアとして登録し、小学校のお手伝いをすることになりました。

情報教育に関するリンク

Computational Thinking – 計算論的思考
Jeannette M. Wing(Microsoft Research and Carnegie Mellon University)著、中島秀之(公立はこだて未来大学)訳

Center for Computational Thinking, Carnegie Mellon
カーネギーメロン大学のコンピューテーショナル・シンキング(計算論的思考)センターの論文等(英語)

マインドストーム―子供、コンピューター、そして強力なアイデア | シーモア パパート, Papert, Seymour, 貴世子, 奥村 |本 | 通販 | Amazon
この本が出版される1980年までにプログラミング言語 LOGO を使って子どもたちと接したことが書かれていて、今まさにプログラミング的思考の学習方法をどうすべきかという示唆に富んだ本だと思います。

テキシコー [総合 小学校3・4・5・6年生、中・高]|NHK for School
プログラミング的思考を育むNHK総合の番組。Eテレじゃないんだ。

文部科学省作成「小学校プログラミング教育に関する研修教材」について | 小学校を中心としたプログラミング教育ポータル
小学校プログラミング教育の概要や Scratch や Viscuit の教材(ビデオ)を見ることができます。

数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー | 結城 浩 |本 | 通販 | Amazon
結城先生の数学ガールシリーズの中でもコンピュータの基礎と数学を橋渡ししてくれるおすすめの一冊です。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ):文部科学省
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(長っ)の議論取りまとめ。この中では「プログラミング的思考」という言葉が使われています。

CANVASのとりくみ | CANVAS | 遊びと学びのヒミツ基地
NPO法人 CANVAS のとりくみ。また直接リンクできないのですが「CANVAS について」の「趣旨と背景」のページには CANVAS のビジョンが語られています。

プログラミング教育Blog
一般社団法人みんなのコードの代表 利根川裕太さんによるプログラミング教育に関するブログです。

ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング | リンダ・リウカス, 鳥井 雪 | 本 | Amazon.co.jp
子どもたちがプログラミング言語を用いずに「プログラマー的思考法」の基礎を学べる絵本。鳥井雪さんの訳では Computational Thinking は「プログラマー的思考法」と訳されています。

コンピュータサイエンスアンプラグド
ニュージーランドで開発されたコンピュータを使わずに情報科学を教えるための学習法。情報論的思考を学ぶにはむしろ実際のモノやデキゴトの体験が重要かもしれません。

情報処理 2016年04月号 | 本 | Amazon.co.jp
情報処理学会誌「情報処理」2016年4月号:特集 プログラミング入門をどうするか

教育ビジョン2011「誰もが情報技術に主体的に向き合う社会の実現をめざして」 -情報処理学会
2011年の情報処理学会の教育ビジョン

情報教育リンク集 – 情報教育Wiki
三重大学の教育情報に関するリンク集。大学に閉じたWikiなのかもしれないが、開かれたWikiであることを期待して。

Amazon.co.jp: パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ): 江渡 浩一郎: 本
Wiki の歴史について書かれた本です。コンピューティングの歴史とも言えるかもしれません。

神奈川の支援教育関連資料 – 神奈川県ホームページ
神奈川県の支援教育関連資料。支援を必要とする子どもたちへの細やかな教育をすべての子どもたちへ展開していくという神奈川県の「支援教育」の視点は、情報教育にも欠かせないのではないか。

 

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